根室市花咲港でサンマが想定外の大漁となり、発泡スチロールの箱や氷などが不足して出荷にも影響が出ている。 
 花咲港は15年連続サンマ水揚げ量日本一で、2011年は7万8537トンだったが、20年には過去最低の8616トンにな 
 るなど、ここ数年は不漁が続き、水産会社などの受け入れ態勢も縮小していた。今年は主力の棒受け網漁が8月10 
 日に解禁され、9月9日までに前年同期比2.7倍の約9700トン水揚げされている。輸送資材が確保できない上、漁業 
 者からは価格下落を懸念する声も上がり、13年ぶりに操業を制限する事態となっている。   
  「毎日フル稼働。切れ目なく忙しい」。根室市内の水産加工会社「永宝冷蔵」の斎藤栄寿社長はこう話しながら 
 も、豊漁を手放しでは喜べない状況だ。前年を大幅に上回る量の発泡スチロールの箱が必要となったが、確保でき 
 たのは4割程度。サンマを出荷できず「やむを得ず断った注文もある」。   
  市内の発泡スチロール箱の消費量は1社あたり1日最大千~3万箱とされる。今季は前年同期の2倍を出荷する加工 
 会社もあり、箱不足は深刻だ。漁船から魚を運ぶコンテナやトラックの確保も難しくなっている。   
  氷も足りない。根室漁協は、漁船や加工会社向けに昨年より多く準備したが、消費量が予想を超え市外からも購 
 入することになった。調達コストが増えた分、販売価格を当面は1トン当たり約5千円値上げし、2万円(税抜き)と 
 した。市内のほかの2漁協も同様の措置をとった。   
  今季は魚体が大きく、全体の9割程度が生食用。需要が高いだけに、関係者からは「もっと売りたい」との声があ 
 がるが、長年の漁獲不振でサンマを大量に扱える水産会社も減り、かつて1日2千トン以上を受け入れた花咲港も今 
 は約千トンが限界という。   
  全国さんま棒受け網漁業協同組合(全さんま、東京)によると、14年までほぼ毎年20万トンを超えた全国のサン 
 マ漁獲量は22年に1万7910トンまで減少した。その後は回復の兆しがみられ、昨年は3万8695トンだった。今年は、 
 9月9日までで約1万4千トンと前年同期の約3.5倍。うち約7割を、花咲港での水揚げが占める。   
  好調な水揚げに、漁業者も複雑な表情を見せる。8月15日の初水揚げ後は1キロ千円を超えた花咲市場のサンマの 
 高値は、9月に入ると300~400円台に下がった。漁場が遠く燃料代がかさみ、漁業者は高値が300円を下回ると採 
 算的に厳しいといい、「単価が安いので多く取るしかない」「適正な価格を保ってほしい」と訴える。   
  こうした事態から、全さんまは今月4日から、12年9月以来13年ぶりとなる水揚げ制限を始めた。今年は遠い公海 
 に加え、道東沖でもサンマが取れており、1997年の設定開始以来初めてサンマ漁獲可能量(TAC、今年は9万5623 
 トン)に達する可能性も出てきた。水産庁は今季の来遊量を「昨年並みの低水準」と予測するが、序盤から続く 
 大漁に「本当にそうなのか」という戸惑いの声も関係者から漏れている。  
https://news.yahoo.co.jp/articles/271c4d889123dbaeb24eb...
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