中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の上海や深圳にある店舗に立ち寄れば、スマートフォンやノート型パソコン(PC)、タブレットだけでなく、25万元(約520万円)の電気自動車(EV)の展示も目にすることができる。
米中貿易摩擦の渦中に置かれたファーウェイは国家安全保障上の懸念で先端半導体へのアクセスを遮断され、西側数カ国で同社製の第5世代(5G)移動通信ネットワーク機器の使用を禁止された状況を踏まえ、EVで事業多角化を図っている。
だが、ファーウェイは自社で車を製造するのではなく、成長機会が見込まれる車載基本ソフト(OS)や運転支援といった技術に特化したサプライヤーを目指す方針だと説明する。
同社はEVを投入するため既に自動車メーカー5社以上と提携。セレス・グループと組んで発売したスポーツタイプ多目的車(SUV)「Aito M7」は、最初の50日間で8万台の注文を受け、瞬く間に成功を収めた。さらに、ファーウェイの技術を採用した2種類のEVが先週、発表された。重慶長安汽車が製造した高級クーペ「Avatr 12」と奇瑞汽車が組み立てたセダン「Luxeed S7」だ。
各社はいずれも、ハイウエー・クルーズコントロールや音声コマンドで操作できるインテリジェント・コックピットなど、ファーウェイが開発した先進運転支援機能を宣伝する。
Aitoブランドは、ファーウェイとの密接な関係から恩恵を受けている。国産5Gチップを搭載した最新スマートフォン「Mate 60」などのファーウェイ製品を、愛国的プライドを示す手段として購入する中国の消費者も多い。
コンサルティング会社イントラリンクで自動車・サプライチェーン部門責任者を務めるダニエル・コラー氏は「Aito人気の理由は恐らく、50%がナショナリズムで、50%が優れた技術だ」と分析する。
ただ、ライバル企業が100を超え競合モデルが数百に上る市場で、Aitoが長期にわたってこの最初の勢いを維持できるかどうかはまだ分からない。
こうした中、複数のパートナー企業と組むファーウェイの戦略は、急速に再編が進む中国EV市場で賭けを分散化する手段でもある。威馬汽車(WMモーター)や中国恒大集団のEV部門などは経営難にあり、威馬汽車は事業再編を申請している。
コラー氏は「ファーウェイは自社の技術を可能な限り多くのプラットフォームに導入し、最終的に市場が再編されたときに、できるだけ多くの生き残り企業と提携していたい考えだ」と指摘。ファーウェイはいつか直接、製造ビジネスに参入したい考えだろうが、市場から余分なものが取り除かれ始めるまではその決断を下さないだろう…以下ソース
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-11-14/S4390...
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