
◆“逆張りの戦略”でコストダウン
会社では、このときの教訓を徹底的に生かして、新型EVを開発したといいます。
キーワードは、“逆張りの戦略”です。
EVは、バッテリーのコストが4割を占めると言われています。
バッテリーの容量を増やせば、1回あたりの充電で走行できる距離は長くなりますが、その分、車両の価格も高くなります。
業界では、いかに距離を伸ばすか激しい競争が繰り広げられていますが、価格を抑えるには、バッテリーの容量を小さくする必要があります。
そこで、会社が着目したのが、軽自動車に乗っているユーザーの1日当たりの走行距離です。
会社が調べたところ、軽自動車の場合、ユーザーの8割あまりが1日の走行距離が50キロ未満であることが分かりました。
最寄り駅への送迎や、スーパーや病院との行き来といった利用が多数を占め、長距離の走行は比較的少なかったのです。
さらに、ユーザーへの聞き取り調査も行って、不便を感じない距離を探っていきます。
その結果、航続距離はアイ・ミーブより20キロ長くして、およそ180キロに。
500キロや600キロと距離を伸ばそうというライバルが多い中で、いわば“逆張りの戦略”で距離を抑えたのです。
さらに価格を抑えるため、バッテリー以外にも工夫をこらします。
提携関係にある日産とのスケールメリットを最大限生かし、2社の部品は、細部に至るまでできるかぎり共通化。
三菱自動車の工場で、日産の車の生産も手がけることで、人件費などのコストを抑えます。
これによって「補助金込みで180万円」を実現したのです。
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