新型コロナウイルスによる経済の落ち込みに対処するため、ドイツ政府が半年という期間限定で消費税の減税を実施する方針を固めました。
ドイツの動きを受けて、日本国内でも減税を求める声が高まりそうですが、日本でも減税を実現できるのでしょうか。
ドイツ政府は今年の7月から半年間限定で日本の消費税に相当する付加価値税の減税を実施する方針です。ドイツの消費税率は極めて高く、
現行では19%もありますが、これを半年限定で16%に引き下げます。ドイツは好調な経済が続いてきたことから、税収も大幅に伸びています。
日本で19%もの消費税を課税すれば経済は壊滅的な影響を受ける可能性がありますが、ドイツはこれだけ高い税率をかけても景気への悪影響は
ほぼゼロでした。しかしコロナ危機によってドイツ経済も悪化が予想されていることから、期間限定での減税実施に踏み切ります。
ドイツの決定を受けて、国内でも消費減税を求める声が高まることが予想されますが、現状の日本において減税を実施するのは至難の業でしょう。
ドイツは均衡財政主義の国として知られており、憲法によって財政均衡が義務付けられています。一定以上の財政赤字は憲法違反になって
しまうため、政府は常に健全財政を維持しなければなりません。ここ数年は国債の発行すら行っておらず、毎年の政府支出はその年に徴収した
税金ですべてカバーしています。
しかし財政均衡には例外があり、非常事態の場合は赤字国債を多量に発行してもよい決まりになっています。今回はコロナ危機という非常事態で
あることから、ドイツ政府は赤字国債の発行を決定しており、消費減税の財源も赤字国債が想定されている状況です。
一方、日本は慢性的な財政赤字となっており、政府債務の対GDP(国内総生産)比は先進国の中でも突出しています。一部では日本円での発行で
あれば、いくら国債を発行しても問題ないと主張する論者もいますが、主流派経済学では、過度な財政赤字は金利上昇や中央銀行の信用低下に
つながるため弊害が多いと解釈されています。ドイツが憲法で財政均衡を義務付けているのもそれが理由ですし、実際、ドイツは財政均衡と高い
経済成長を見事に両立しています。
経済学的な議論はともかく、日本の政府債務比率が先進国でも突出した水準になっている以上、大規模な減税実施にはかなりの困難が伴います。
政府内部では、コロナ対策費の最終的な財源として、東日本大震災の復興特別税と同じような、増税プランが議論されている状況ですから、消費税を
減税するというプランが浮上する可能性は極めて低いでしょう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/34c21c4e1266820ce489f...
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