かつて日産自動車ナンバーツーのCOO(最高執行責任者)の地位にあった志賀俊之氏は、カルロス・ゴーン・元日産会長の右腕だった人物としても知られる。昨年11月のゴーン氏逮捕以降、沈黙を貫いてきた志賀氏が、初めてダイヤモンド編集部のインタビューに応じた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)
◆アライアンス精神の風化
──6月に日産自動車の取締役を退任しました。現在の心境は?
「敗軍の将は兵を語らず」といわれますけれど、日産を出て行った人間が、現在の日産の経営についてとやかく言うことは、仕事をしている日産従業員に対して失礼にあたると思っています。
また、ゴーン(カルロス・ゴーン元会長)さんの問題について語るにも、もう少し時間が必要です。臨時株主総会でもお話ししましたが、私自身が経営責任を免れるわけではないですし。それでも、1999年に仏ルノーとアライアンスを組んだ頃のお話をしておくべきだと思いました。
というのも、日産とルノーが提携したときに確認した「アライアンスの精神」が風化しているのではないかと強い危機感を持っているからです。
アライアンスの初期を知る人間として、今の両社のこじれた関係には違和感しかありません。「両社を不可逆的な関係に戻す」とか「経営統合すべき」とルノーが主張していると報道されていますが、20年で確立したアライアンスの何をどう変える必要があるのかというのが、私の思いです。
──もう一度、両社が提携のスタートラインに立つべきという意味でしょうか。
そうです。一言でいえば原点回帰をするべきです。そうしないと、日産とルノーのアライアンスが崩壊する方向へ行ってしまいます。
日産が経営危機に陥った後、ダイムラーとの提携交渉が決裂し、替わりにパートナーとして浮上したのがルノーでした。
1999年に両社は「ルノー・日産アライアンス・マスター・アグリーメント(アライアンス基本合意書)」を結んで提携しました。現在は、RAMA(ラマ。改定アライアンス基本合意書)にその役割は置き換わっていますが、当初のアライアンスの精神はまったく変わっていません。
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