米国の産業を守る目的のはずのトランプ大統領の関税政策が、自国のアルコール飲料関連産業に大打撃を与えている。
ワインは最大の輸出市場であるカナダへの輸出が壊滅状態。米国の特産であるバーボンの業界では倒産する企業も出
始めた。レストランも仕入れコストの上昇に青息吐息。業界は連名でトランプ大統領に関税の撤廃を要請している。
前年比97%減
米国はフランス、イタリア、スペインに次ぐ世界4位のワイン生産国で、同時に世界トップ10に入る輸出国。ところが
その輸出が大きく落ち込み始めた。原因は輸出市場の3分の1を占めるカナダだ。カナダへの輸出は4月が前年同月比約
93%減、5月と6月が共に同約97%減と壊滅状態にある。
輸出額で見ても、例えば昨年6月は約3,200万ドル(約47億3,600万円)だったが、今年6月は約100万ドル(約1
億4,800万円)と激減ぶりは明らか。
きっかけはトランプ大統領の関税政策だ。大統領は3月、カナダ製品に一律25%の関税を課すと発表。これに対抗してカ
ナダも米製品に25%の報復関税を課した。
トランプ大統領は同時に、関税交渉でカナダ側の譲歩を引き出すことを狙ってか、「カナダは米国の51番目の州にな
るべきだ」と脅しのような発言を繰り返した。
こうしたトランプ氏の言動がカナダ人の愛国心に火をつけ、「Buy Canadian(カナダ製品を買おう)」運動が全
国的に発生。小売店の棚から米国産ワインが撤去された。
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