https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/3feaf698c30dda... ケンタッキー・バーボンの蒸留所が倒産
米国のワイン業界では早くから、トランプ大統領の一方的な関税引き上げ政策が相手国の報復関税を招いて米国のワイン業界にマイナスの影響を及ぼすと懸念していたが、それが早くも現実のものとなっている。
バーボン業界もカナダとの関税の報復合戦で深刻な影響を受けている。
7月、ケンタッキー州内でバーボンの蒸留所を運営するLMDホールディングスが連邦破産法第11条を申請した。カナダによる報復関税が一因と報じられている。同蒸留所は開設したばかりだった。
バーボンとウイスキーはケンタッキー州の主要産業の一つで、両者合わせて年間約約90億ドル(約1兆3,300億円)の売り上げがある。そのうち約10%はカナダへの輸出によるものだ。「ワイルドターキー」などバーボンの大手ブランドも軒並み売り上げを落としている。
原因はカナダだけではない。米メディアによると、米国産ワインにとって3番目の輸出市場である中国向け輸出も、米中間の貿易戦争の結果、4月は前年同月比で約3割減少した。
トランプ大統領宛てに書簡
ここ数年、アルコール飲料の消費量は、消費者の健康志向、物価高、若者の酒離れなど様々な状況が重なり、世界的に減少傾向にある。トランプ関税はこの流れを加速させかねないと関係者は懸念している。
ブドウや大麦、トウモロコシの生産者からバーやレストラン、小売店、包装業者に至るまでアルコール飲料にかかわる幅広い業界の57団体で組織する「Toasts Not Tariffs Coalition(関税ではなく乾杯を連合)」は8月6日、トランプ大統領宛てに書簡を送り、米国と貿易相手国の酒類の関税を互いに撤廃するよう要請した。
同連合は、相手国の報復関税で米国からの酒類の輸出が困難になっているだけでなく、米国が幅広い輸入品に高率の関税を課したことで、輸入ワイン、ワインやバーボンなどの熟成に使う樽、ガラス瓶などアルコール飲料ビジネス関連の商品の価格が高騰。その結果、輸入業者や小売店、レストランなど様々な業種の経営に悪影響を及ぼしていると指摘している。
バーやレストランなどの飲食業界では、米国が欧州連合(EU)産のワインに15%の関税を課した場合、年間の売上高が20億ドル(約2,960億円)近く減少し、2万5000人以上の雇用が失われると試算している。
今のところトランプ政権の反応は報じられておらず、なしのつぶて状態だ。
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