習近平中国共産党総書記・国家主席は2月4日の北京冬季五輪開会式に出席したロシアのプーチン大統領に 
 対し、ウクライナ問題でロシア支持を表明したものの、実のところは、ロシア軍がウクライナに軍事侵攻し 
 てもらっては困るというのが北京の本音である。   
 中国は通貨発行制度をドルに依存しており、ドルが入らなくなるとたちまち金融危機に見舞われる脆弱(ぜ 
 いじゃく)さを抱えている。対ウクライナ軍事侵攻の場合、米国が発動する金融制裁はロシアにとどまらず、 
 ロシアの制裁破りに加担する国の銀行や企業にも適用される。   
 そんな中、米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ抑制のために3月中旬に開かれる連邦公開市場委員 
 会(FOMC)での決定を皮切りに段階的に政策金利の引き上げに踏み切る情勢だ。1月のFOMCの議事 
 録によると、大半の委員が高インフレを懸念し、2008年9月のリーマン・ショック危機後続けたゼロ金 
 利政策を解除して政策金利を引き上げた15年以降の局面よりも、速いペースで利上げすべきだとの見解だ 
 った。   
 15年当時は3年間で政策金利を9回、計2・25%引き上げた。今回は3月以降7回開かれるFOMCの 
 たびに利上げに踏み切るべきだと、サマーズ元財務長官は主張している。   
 この利上げシナリオが実行されるようだと、習政権にとっては15~16年当時の悪夢が蘇るはずだ。グラ 
 フは米政策金利と、中国の対外金融負債および外貨準備(外準)の推移である。中国の外準は14年をピー 
 クに急減し始めた。習政権は15年夏に輸出産業てこ入れのために人民元を切り下げたが、資本逃避が急増 
 し、外準を取り崩して元を買い支えるしかなくなった。さらに同年12月の米利上げで、資本逃避が加速し 
 ていく。信用不安が起き、銀行の不良債権問題も深刻化した。   
 当時の米国は対中融和のオバマ政権で、FRB議長は現財務長官のイエレン氏である。FRBは中国金融危 
 機の国際市場への波及を懸念し、追加利上げを1年間延期し、中国危機が収まるのを見計らって16年12 
 月以降に利上げを再開した。習政権は外準を維持するために対外金融負債を増やし、それから得られるドル 
 を外準に組み入れた。外準は中国人民銀行が発行する人民元の信用を確保するためだ。   
 FRBは、中国武漢発の新型コロナ・パンデミック(世界的大流行)が勃発した20年にゼロ金利政策を再 
 開し現在に至るが、21年から中国では不動産バブル崩壊で資本逃避が再発し、米利上げで拍車がかけられ 
 る。インフレ抑制が最優先となるFRBは、今度ばかりは手加減しないだろう。   
 しかもウクライナ危機は続く。ドルの「金欠」に悩まされている習政権はプーチン氏に「ウクライナは話し 
 合い解決を」と懇願せざるを得ないのだ。  
https://news.yahoo.co.jp/articles/86c5632ca65304f86f154...
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