日本の低生産性の元凶は中小企業にあり──。このように指摘すると、なぜか怒り出す人がいます。「自分が知っている中小企業の社長はすごい人だ」 
 「優れた技術を持つ中小企業をテレビで紹介していた。馬鹿にするな」というわけです。   
 たしかにグローバルで戦えるような素晴らしい技術を持つ中小企業もあるのでしょう。しかし、それはエピソードベースでしかなく、 
 反論のエビデンスとして弱い。仮にそうした会社が10〜20社あったところで358万社の中小企業部門の大勢に影響はありません。 
 ところが日本ではごく一部の事例を一般化する傾向があって、 
 「中小企業は日本の宝だ」と捉えてしまう。これでは真実を見誤るだけです。   
 中小企業の生産性が低いのは大企業に搾取されているからだというのも、エピソードベースのごく狭い見方です。 
 大企業に泣かされている下請けの話を井戸端会議レベルで聞いて、さもすべてがそうであるかのように錯覚しているのです。   
 これは簡単に統計で確かめられます。大企業による搾取が中小企業の低生産性の主な原因なら、下請けや孫請けの階層が多い業界ほど 
 中小企業の生産性が低いはずです。   
 その代表的な業界である建設業はどうか。建設業の中堅企業の生産性は614万円で、全業種平均の457万円より上。 
 小規模事業者の生産性は406万円で、これも全業種平均の342万円を上回っています。データを見れば、大企業が搾取するから生産性が低くなるという説は 
 何のエビデンスもない暴論であることがわかります。そもそも、日本の生産性が低い原因は、下請けの搾取が少ないと言われているサービス業にあります。   
 ■中小企業は「小さいことが罪」   
 では、中小企業はなぜ生産性が低いのでしょう。中小企業は働き方改革が進んでいないから? それともICT化が進んでいないから?   
 どれももっともらしく聞こえますね。実際、そのように考えて中小企業に働き方改革やICT導入を勧める評論家は少なくありません。   
 しかし、こうした議論は原因と結果を混同しており、ミスリードです。中小企業の生産性が低いのは、非効率的な働き方を正そうとしたところで解決しません。 
 残業が多くなったりICT化が遅れたりしているのは、原因ではなく結果です。中小企業は他に原因を抱えており、それが非効率的な働き方を引き起こしているのです。   
 その原因とは、ズバリ、企業の規模そのものです。中小企業は、小さいがゆえにさまざまな問題を引き起こし、低生産性を招いています。  
https://news.livedoor.com/article/detail/18560452...
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