なぜ、安倍政権はこの非常時に審議を急ぐのか——。14日「年金制度関連法案」が衆院本会議で審議入りしたことに批判が 
 噴出している。   
  法案の柱のひとつは、現在、60〜70歳の間で選べる年金の受給開始年齢を、2022年4月から60〜75歳に拡大させる 
 というもの。年金の受給開始を75歳からでもOKにしようというものだ。公的年金の受給開始は65歳が基本だが、75歳から 
 受け取ると、65歳開始に比べて毎月の年金額は84%増える。   
  安倍首相は「すべての人の生活安定につなげる」と、この国会で成立させるつもりだ。   
  しかし、新型コロナが蔓延しているのに、不要不急の「年金法案」を審議している場合なのか。しかも、年金法案の担当は、 
 コロナ対策に忙殺されている厚労省である。   
  この時期に「年金法案」を審議しようとは、安倍政権はなにを考えているのか。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。   
 「日本中がコロナ一色になっている今こそ、審議するチャンスだと計算したのでしょう。平時に審議したら、年金法案に国民の 
 注目が集まり批判が噴出すると考えているのだと思う。実際、この法案は問題が多い。政府の狙いは、年金受給開始を75歳からに 
 すれば受給額が84%も増えるとアメ玉をちらつかせることで、高齢者をいつまでも働かせることでしょう。安価な労働力を 
 確保できるうえ、75歳までに死亡すれば、国は年金を払わずに済みますからね。そのうえで、いずれ年金の受給開始を現在の 
 基本65歳から、68歳、70歳と引き上げるつもりなのだと思う。今回の法案は、その布石でしょう」   
  しかし、本当に75歳から受給したほうが得なのか。従来通り65歳から受け取った場合と、75歳から受け取った場合、 
 年金が同じ額になるのは86歳だという。つまり、86歳まで長生きしなければ、75歳から受給を開始するとマイナスだと 
 いうことだ。   
  野党は「コロナ対策に集中すべきだ」と、この年金法案の審議は突っぱねるべきだ。    
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/27191...
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