新著「日本への警告 米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く」(講談社+α新書)がヒットしている。ウォーレン・バフェット、 
 ジョージ・ソロスと並ぶ「世界3大投資家」のひとりとして知られるカリスマ、投資家のジム・ロジャーズ(76)は、日本から資金を 
 引き揚げた。理由は歯止めのかからない少子高齢化による人口減。財政出動、異次元緩和、成長戦略を掲げるアベノミクスのデタラメだ。 
 「私が10歳の日本人だったら、この国を去ることを選ぶ」という。その忠言を聞いた。   
   ——2018年秋に日本株をすべて手放したそうですね。   
  今は株も通貨も、日本関連の資産は何も持っていません。日本株を買い始めたのは東日本大震災の直前。日本株はバブル期最高値の 
 4分の1水準で、さらに下がることもあり得る状況だった。震災による株価下落局面でさらに買い増しました。あえて投資したのは、 
 中期的に見れば景気は回復すると見ていたからです。予想通りに株価は上がり、利益を得ることができた。ただ、この先、日本株を買う予定は 
 ありません。日本経済を破壊するアベノミクスが続き、少子高齢化による人口減少を食い止められない限り、この判断を変えることは 
 ないでしょう。   
   ——アベノミクスに非常に批判的です。   
  安倍さんがやっていることはバカげていますよ。財政出動で国の借金を増やし、金融緩和で日本円の価値を下げている。お金の使い方が 
 下手な上に、使い過ぎています。自分のお金じゃないから、国民から吸い上げた税金だから、どんどん使っているんです。   
   ——日銀は先月中旬の金融政策決定会合で大規模緩和の維持を決定。欧米の中央銀行が利下げに動く中、黒田総裁はマイナス金利の深掘りを 
 示唆しています。   
  大きな間違いです。世界的に見てこれほど金利が低かった時代はない。そもそも、中央銀行が実質的に直接、国債を買う金融政策は 
 前代未聞です。日銀は16年9月にいわゆる「指し値オペ」を導入しましたが、これは紙幣を無制限に刷るということ。つまり、日本円の 
 価値を下げるわけで、アベノミクスは絶対に成功しません。20年後には対米ドルのみならず、韓国ウォンに対しても相対的に価値を落として 
 いるでしょう。   
   ——世論の根強い反対を無視して、消費税が10%に引き上げられました。   
  増税は景気を冷やします。安倍政権がやっていることはまったくナンセンスですよ。来年は東京五輪が開催され、五輪景気が期待されて 
 いますが、歴史を振り返れば五輪が国家財政のプラスになったためしがない。五輪のせいで日本の財政赤字はさらに膨らみます。国の長 
 期債務残高(18年度)は947兆円に上り、対GDP比167・8%と巨額。10歳の日本人が40歳になるころには、借金は目も 
 当てられない状態になるでしょう。国債は買われなくなり、金利を引き上げざるを得ず、そうなれば高金利によって国の借金はさらに 
 膨れ上がってしまう。子どもはいない、移民もいない。日本は大問題だらけです。   
 (続く)
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