決して他人事では済まない、そこが問題です。 
   まずは有機EL市場の基本的な情報をおさらい。基本的にほぼすべてのシェアをSamsungとLGが占め、中国BOEがシェア拡大を狙っています。   
 モバイル向け中小型:Samsungが90%以上 
 大型テレビ向け:LGが95%以上   
 BOEの有機ELパネルを採用したとされる「Huawei Mate 20 Pro」。中国勢のキャッチアップが進んでいます。   
 上記のシェアから分かるように、徴用工問題での対立を背景に、日本が韓国に対して行った「フッ化ポリイミド」「レジスト」 
 「エッチングガス」などの輸出を実質規制する措置は、今後有機ELパネル不足を招くこととなります。   
 そのためAppleは安定供給を図るべく、中国BOEからもパネルの調達を検討する段階にさしかかっているわけです。   
 ここで問題となってくるのが、部品不足が招く結果。基本的に部品が不足した場合、メーカーは大口顧客への供給を優先します。   
 つまりスマホ向け有機ELパネルが不足した場合、世界シェア上位のSamsungやHuawei、Appleなどに優先的に供給され、シェアの小さい 
 日本メーカーは後回しになります。   
 分かりやすい例が2012年発売の「AQUOS PHONE ZETA SH-09D(シャープ製)」。世界的なプロセッサ不足の中で供給を満足に 
 受けられず、わずか1ヶ月で発売終了となりました。   
 また、部品不足が招くもう一つの問題が単価の高騰。   
 パネル1枚あたりの単価が上がっても、大口顧客であればある程度スケールメリットを生かしてコストを抑制できますが、まとまった数を 
 仕入れられないメーカーはコスト増がそのまま最終製品の価格に転嫁されかねません。   
 気がつけばスマホを年間1000万台売ることすら厳しくなったソニーの最新モデル「Xperia 1」。有機ELパネル高騰によって、今後発売される 
 機種の本体価格が引き上げられ、不利になる可能性は十分考えられます。   
 もちろんこれは有機ELテレビでも同じ。LGはまず自前のテレビへの搭載を優先し、余ったパネルをパナソニックやソニーなどの有機ELテレビに 
 振り向けると考えられます。当然2社が調達で競った場合、パネル単価はさらに上がります。   
 供給元が限られるため、メーカーの「言い値」で買わされている感も強い有機ELパネル。   
 もしジャパンディスプレイが有機ELパネルの量産にこぎつけていれば、今回の規制は間違いなく追い風となりましたが、現状では日本の 
 家電メーカーの首を絞め、シェア拡大を図る中国BOEを利するだけとなりそうです。    
https://buzzap.jp/news/20190711-korea-japan-oled...
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