《商用の電気自動車(バス、トラック、トライクなど)に特化し、開発・製造・販売までを手がけているのがEVモーターズ・ジャパンだ。世界最高クラスの低消費電力システムを独自開発し、長距離走行に加えてバッテリーの長寿命化も実現している。創業者の佐藤裕之は、ゆずれない技術者魂とアントレプレナーシップに加えて、燃えるような使命感を携えていた。》
「私たちは、商用の電気自動車(EV)を開発・販売しています。直近1年間で販売の正式契約と仮契約を結んだ国内バス会社が10社を超え、受注台数は100台を上回りました」
そう語るのは、北九州市のEVモーターズ・ジャパンで代表取締役社長兼最高技術責任者(CTO)を務めている佐藤裕之だ。日本で保有されているEVバスは、2022年3月時点で約150台にとどまっている状態だという。そうしたなかで、100台以上という受注数のインパクトは大きい。
「EVモーターズ・ジャパンでは22〜23年度にかけて受注した100台の大半を全国のバス会社に納入していきます。受注が多いのは車両価格が4,000万円台で全長約10.5mの路線バス、そして2,000万円台で全長6.99mのコミュニティバスとなっています」
いま、世界的に脱炭素の動きが進むなか、国内のバス事業者においてEVバスの導入が加速しているのだ。その中心にいるのがEVモーターズ・ジャパンであり、佐藤裕之である。
なぜ、EVバスを手がけるようになったのか
かつて佐藤は、新日本製鐵の連結子会社であり、製鉄設備の設計・施工・メンテナンスを担う日鉄エレックスでエンジニアとして働いていた。1980年代から佐藤が中心となって取り組んできたのが、「リチウムイオン電池の充放電装置」だ。これは、リチウムイオン電池製造の最終工程で各メーカーが定めた電流値や電圧値、環境温度などの指定条件にて充放電を繰り返し行い、化成と呼ばれる化学変化を起こし、エネルギーを蓄積する電池として機能させるための重要な装置だ。
「当時、過酷な環境で働く製鉄所の工員のために、私たちはいかに製鉄設備からの発熱を抑えるかという研究を行い、知見と技術を有していました。その知見と技術は、他の設備にも応用できるものです。結果として、90年には世界初の発熱しない『AC回生方式充放電電源』と『リチウムイオン電池の充放電装置』を開発することにつながっています」
佐藤たちが開発した電源と装置は世界標準となった。そして、佐藤は09年に日鉄エレックスから独立してソフトエナジーコントロールズを立ち上げ、最高経営責任者(CEO)兼最高技術責任者(CTO)の任に就く。
「そこからは充放電装置はもちろん、バッテリー、インバーター、モーターの制御システムを開発することにも取り組んできました。中国の主要EVバスメーカーにシステムを提供し、生産拡大に貢献しています」
装置やシステムのサプライヤーとして会社は世界に名を知られ、そのCEO兼CTOとして佐藤は大きな貢献を果たしてきた。しかし、アントレプレナーおよびイノベーターとしての佐藤のギアは、2011年3月11日を境にして大きく上げられることになる。
以下ソース
https://forbesjapan.com/articles/detail/5048...
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