経済界、事前打診なき政府の「無茶ぶり」に困惑
2021/05/26 16:49
新型コロナウイルス感染拡大の抑制に向けた取り組みをめぐり、経済界が政府からの突然の要求に困惑している。
政府は今月に入り、在宅勤務などのテレワークの企業ごとの実施水準の公表や、企業の診療所を使った地域住民へのワクチン接種を経済界に要請。
しかし経済界は企業活動の実態を踏まえれば、満額回答での実施は難しいとの立場だ。これらの要請は担当大臣が経済界との会談の場で事前の打診もなしに打ち出したという経緯もあり、政府の調整力不足への不満も出ている。
「特に上場企業はテレワークの状況、出勤者数の状況を公表していただく」
西村康稔経済再生担当相は11日の記者会見で、経済界に対してテレワークに関する情報開示を求めた。
5月の連休が明けて企業活動が再開する中、出勤者数の7割減を達成するため、企業がより積極的にテレワークに取り組むよう促すのが狙い。
テレワークの実施率は全国では約2割、首都圏の1都3県では約3割での横ばい傾向が続いており、西村氏はテレワーク情報の開示は学生が就職先を選ぶ際の参考にもなると意義を強調した。
しかしこの後に西村氏とテレビ会議を行った経済界のトップらからは厳しい反応が相次いだ。
小売業や建設業などテレワークが難しい企業も多く、実施水準の低い企業のイメージを悪くするような仕組みは容認できないためだ。
日本商工会議所の三村明夫会頭は「主要企業に協力を要請するが、対応が難しい業種への配慮を求めたい」と苦言を呈した。
また経団連の古賀信行審議員会議長は「企業ごとの実施状況のパーセンテージ(比率)が独り歩きすることがないように配慮を求めたい」とした。
経済産業省は18日から企業がテレワーク情報を提供しているホームページのリンクをまとめる形で各社の取り組みを公表している。
しかし企業数はわずか300社程度だ。
一方、河野太郎行政改革担当相は経済界に対し、企業が所有する社内の診療所や病院を活用し、社員だけでなく、地域住民も対象にしたワクチン接種への協力を要請した。
経団連の冨田哲郎副会長は13日の河野氏との会談後、ほぼ全面的に協力する考えを示した。
だが、経済同友会からは、企業内診療所での地域住民接種はセキュリティー面で課題があり、難しいとの声も上がる。
日商の三村会頭は「中小企業では産業医は掛け持ちのケースが多く、(職場での)職域接種自体が難しい」と指摘する。
昨年来、経済界は政府の在宅勤務要請など、さまざまなコロナ対策に全面的に応じてきた。
しかしこうした要請では、政府側が内容を事前に打診するなどして実現可能性を把握したうえで、公にしてきたのが実情だ。
ある経済界の関係者は「会談の日程だけ決められて、その場で大臣にこれをやってほしいといわれても、現実問題としてできないこともある」と強調。
【以下略】
https://news.goo.ne.jp/article/sankei/business/sankei...
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