上振れの実感はまったくないが……。
内閣府が8日、今年1〜3月期の国内総生産(GDP)の改定値を公表。物価変動の影響を除いた実質(季節調整値)で前期比0・6%減、
年率換算では2・2%減となった。
マイナスであることに変わりはないが、5月発表の速報値(前期比0・9%減、年率換算3・4%減)から上方修正されたのだ。
主な原因は、企業の設備投資の上振れだという。「ホンマかいな」と思ってしまうが、今月1日に財務省が公表した法人企業統計で設備投資が
予想外に強く、これを反映したところ、GDP統計の設備投資が1次速報の前期比0・5%減から一転、1・9%増にハネ上がったというのだ。
「もっとも、今回の法人企業統計は、新型コロナの影響で調査票の提出が間に合わなかった法人が多く、調査票の回収率は61・4%に
とどまっている。新型コロナの影響が限定的で業績が堅調な法人からの調査票を集計した格好なので、7月末に公表する確報で下方修正される
可能性があります」(財務省関係者)
コロナで悪化した法人のデータが含まれなければ、“いい数字”が出るのは当たり前だ。
何とも絶妙なのは、1〜3月期のGDPを上方修正したことによって、2019年度の実質成長率も0・1%減から0・03%増に改定
されたことだ。これで、5年連続のプラス成長ということになる。数値の差はわずかでも、マイナスとプラスではイメージが大きく変わってくる。
実際、西村経済再生相は8日の会見で「ゼロ近傍の成長率に変わりはないが、消費増税や大型台風、新型コロナウイルスの影響があるなかで、
この水準が維持できた。我が国の地力には底堅いものがある」と胸を張った。
経済評論家の斎藤満氏が言う。
「今回のGDP改定値は、あまりに不自然です。個人消費も輸出もマイナスなのに、設備投資だけがプラスに転じている。0・1%程度の
マイナスなら鉛筆ナメナメで何とでもなると考えて、年度全体でプラスになるよう設備投資の数値をカサ上げした疑いもある。苦しんでいる人を
切り捨て、数字の操作で見かけだけ良くするのはナンセンスです」
この政府が出す数字は、まったく信用できなくなってしまった。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/27432...
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