「携帯料金は4割下げられる」——。菅義偉官房長官の発言から始まった携帯電話料金の「官製値下げ」。昨年10月から新ルールが
スタートしているが、料金は下がる気配を見せない。他方、携帯会社は2ケタの増益を記録している。何が起こっているのか。
新ルールのスタート後、最初の携帯3社の四半期決算(2019年10〜12月期)が7日、出そろった。NTTドコモは減収減益
だったが、ソフトバンクの営業利益は前年同期比15%増の2431億円、KDDIは同11%増の2904億円と絶好調だった。
新ルールは乱暴に言うと、料金を下げさせるために、携帯端末の“割引”に規制をかけることと、解約違約金を安くすることの2本柱だ。
新ルールでは、端末の割引は2万円までに制限された。また他社への乗り換えを促すため、解約違約金は9500円から上限1000円に
引き下げられた。しかし、19年10〜12月期の解約率は3社とも軒並み下落。しかも、新ルールの“端末割引規制”のおかげで、
従来のように端末を“安売り”しなくても済んだ。その結果、販売台数は減っても、大幅に増益になったのだ。
経済ジャーナリストの井上学氏が言う。
「端末代の割引制限は義務ですが、通信料金の値下げは義務ではなく、携帯会社に委ねられています。楽天の参入が遅れていることもあり、
携帯会社には通信料金を下げるインセンティブがありません。増益は当然の結果です。消費者にとっては旧ルールの方が、端末割引も含めて
トータルコストが安くなっていた可能性があります。これから5Gの導入が本格化し、端末はますます高額化していくでしょう。割引制限が
続けば消費者は手を出せず、5G携帯の普及の妨げになる恐れもあります」
菅官房長官はどう落とし前をつけるつもりなのか。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/26886...
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