株式会社帝国データバンクが、全国2万3,652社を対象に2019年12月の国内景気動向を調査・集計し、景気DIとして発表した。
2019年12月の景気DIは、前月比1.1ポイント減の42.5となり、3カ月連続で悪化。10業界中、「建設」「製造」「運輸・倉庫」
「サービス」など9業界で落ち込んだ(「その他」を除く)。「製造」は8カ月連続で低下したことになる。
また地域ごとの指標では、「南関東」「近畿」「東海」など10地域中9地域が悪化、「北関東」が横ばいに。消費税率引き上げの
影響が続いたほか、中国向け輸出の停滞や東京五輪需要の落ち着きも表れ始めた。「南関東」「近畿」の2地域で全国の景況感を
0.62ポイント押し下げた形だ。規模別では「大企業」「中小企業」「小規模企業」がともに低下した。
12月の国内景気は、企業および消費活動が停滞し、年末需要が例年と比べて低迷したことが響いた。世界経済の減速を背景とした
輸出減少や設備投資意欲の減退から製造業を中心に景況感の悪化が続き、荷動きの停滞や経費削減の動きなどへとつながった。
また消費税率引き上げによる消費低迷が、住宅関連を含め幅広い業種へ悪影響を及ぼした。暖冬傾向や燃料価格の上昇なども
マイナス要因となった。他方、公共工事の増加基調や、世界経済における懸念が後退したことによる日経平均株価の上昇は
好材料となった。
国内景気は、一部で好材料もあるものの、後退局面に入っているとみられる。
今後は、米中貿易摩擦や英EU離脱に向けた動き、中東地域での地政学的リスク、近隣国の動向などが、日本経済に与える影響を
注視する必要がある。
国内では、消費税率の引き上げで落ち込んだ個人消費が、緩やかながらも持ち直していくと見込まれる。海外経済の減速を受け
輸出の減少が続く一方、設備投資は省力化需要などが寄与し底堅く推移すると予想される。
また人手不足や輸送費が企業経営に重荷となるであろう。一方で補正予算実行による公共投資、東京五輪による消費マインド上昇や
インバウンド拡大が期待される。
今後の国内景気は緩やかな後退が見込まれるなか、海外情勢の変化が国内景気へ及ぼす影響を注視する必要がありそうだ。
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