この最低賃金では、フルタイムで働いても年収200万円に届きません。
厚生労働省中央最低賃金審議会の小委員会が7月31日、2019年度の最低賃金の目安を時給換算で全国平均で27円引き上げ、901円に
することを決めました。全国平均が900円を突破するのは初めてのこと。
また引き上げ幅でも2018年度を上回って2年連続で過去最大を更新。全国平均の引き上げ率は3.09%となっており、2016〜18年度と
ほぼ同水準を保っています。
都道府県別の最低賃金では、東京などAランク6都府県が28円、京都などBランク11府県が27円、群馬などCランク14道県と福島など
Dランク16県は26円の引き上げとなり、東京(1013円)と神奈川(1011円)で初の1000円超えとなりました。
さて、この最低賃金を年収に換算するとまた別の面が見えてきます。毎日8時間を週5日×4週の20日間働くと考えて計算してみましょう。
まず全国平均の901円で考えてみると、172万9920円。最も高い東京でも194万4960円と200万円に届きません。最低の鹿児島
(787円)では151万1040円となりました。
言うまでもなくこれらの金額は手取りではなく、ここからさらに厚生年金や保険料などが差し引かれることになります。
一般に年収200万円以下の人をワーキングプアと呼びますが、東京ですらこの最低賃金ではワーキングプアから脱出できる水準では
ないということになります。
もちろん各企業が最低賃金スレスレではない賃金を提示できればいいのですが、中西宏明経団連会長は「ここ何年か最低賃金を上げ続け、
限界だという声もある」と指摘。
また日本商工会議所の三村明夫会頭も最低賃金が1000円になることに「重大な影響が中小企業にあると思います」と発言するなど、
企業側は大小問わず人件費の増大を歓迎しない態度を明らかにしています。
また注目点としては、全国平均の901円を超えているのは東京、神奈川の他に大阪、埼玉、愛知、千葉、京都の7都府県のみということ。
23道県が800円台、17県が700円台となっており、それぞれの都道府県の引き上げ幅を考えてみても地域格差は縮まっていません。
地方では家賃の安さと引き替えに自動車保有が必須となるケースも多く、コンビニやスーパーでも値段が全国一律の商品も少なく
ないため、生活費が都市部よりも極端に安いということはありません。
地方再生を掲げながら都市部と地方の地域格差が温存され、IターンやUターンなどで地方での就職を望んでも、仕事が少ない上に賃金も
満足いくものではないという状況にはあまり変化が見られないことになります。
10月に消費税が10%に増税されることも合わせて考えると、この引き上げで消費者心理を上向かせるのは難しそうです。
https://buzzap.jp/news/20190731-minimum-wage2019...
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