京都府の丹波3市町の農家が、肥料や餌の高騰に青息吐息だ。ウクライナ問題や中国の輸出規制などで肥料の原料供給が
滞る上に、燃料費高や円安傾向が拍車をかける。農業現場では利幅の大きい品種や割安な堆肥へのシフトを模索するほか、
利益を減らしてもブランド維持のため高い飼料を使い続けるなど対応に頭を悩ませ、行政も支援方法を模索している。
■利幅大きい品種へシフト
「水稲に使う一部肥料の値上がり分を合計すると25万円になる」。南丹市八木町の「木喰(もくじき)の郷(さと)も
ろはた」の松本武美代表理事(78)は明かす。今春、ある肥料(20キロ)が約3400円から約3900円に、別の肥料(同)
も約3500円から約3900円になった。計約600袋使うため、「痛い」とこぼす。
新型コロナウイルスの感染拡大で外食需要が縮小し、米価が低迷。ダブルパンチといえる状況を乗り切ろうと、もろは
たでは作付けの品種構成を見直し、安価なキヌヒカリを大幅に減らして、高値での取引が見込めるミルキークイーンの増
産に乗り出した。松本代表理事は「高いコメを作って利益を出していく」と前を向く。
南丹市の若手農家らでつくる団体「京都丹波もん」では、牛などのふんを生かした堆肥の利用を進めている。化成肥料
に比べて安い一方、即効性に欠けるため、いつまくのが効果的かなどについて情報共有しながら取り組む。中心メンバー
で、水稲や白大豆の生産を手がける東智也さん(47)は「よりよい農産物を作れる上、肥料高への対策にもなる」とする。
肥料や飼料の価格は「安くなるようには思えない」(東さん)ため、農家の自助努力だけでは限界が来るとみられる。
京丹波町の「丹波ひろっちゃんファーム」の今西宏さん(67)は「行政の支援があれば」と願う。
肥料高騰に対し現時点では丹波3市町の独自支援策はないが、政府・与党は農家を支援する補助金制度の創設を検討して
いる。府は、化学肥料から府内産有機質肥料などへの転換を図る農家に、10アール当たり1万円を上限に肥料代を補助する
事業の募集を近く始める。
■肉牛、利益減でもブランド維持
亀岡市では、高級肉牛として評価が定着してきた亀岡牛の生産を飼料価格の高騰が直撃している。ブランド力が高まり
供給不足気味になっていたことから、地域全体で現状の倍となる2千頭の生産を目指し投資を始めた時期にも重なってし
まった。生産農家は「消費者においしいといってもらってなんぼ。肉質は落とせない。採算が取れなくなるまでは、今ま
で通りやっていくしかない」と腹をくくる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/848b1f3658a507e9c505d...
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