アメリカ市場では、1枚10セント(約11円)の国産マスクよりも、1枚2セント(約2円)の中国製マスクが多く流通していました。
これに対してボーウェン社長は「個人用保護具であるマスクを中国やメキシコといった他国に依存することは国家安全保障の上で大きな問題となる」と主張していました。
「私は2007年頃からマスク生産はアメリカ国内中心で行うべきだと主張してきました。しかし、医療用マスク市場全体はマスクの価格にしか興味をもたず、誰も耳を傾けてくれませんでした。
下院議員や将軍にも話をし、大統領にも手紙を書きました。しかし、オバマ大統領が送ってくれた宣言書は額縁に入れて飾る以外に意味がありませんでした」とボーウェン社長は語っています。
2009年に豚由来のH1N1型インフルエンザが世界的に流行した際、他国からのマスク輸入がとだえたために、プレステージ・アメリテックにアメリカ全土からマスクの注文が殺到し、
ボーウェン社長は1日3交代制による大増産を行いました。マスクの供給量は格段に上がったものの、インフルエンザの流行がおさまると再び医療用マスク市場は中国の安価なマスクに流れてしまい、
プレステージ・アメリテックは1億ドルの負債を抱え、倒産寸前に追い込まれてしまったとのこと。
2010年、プレステージ・アメリテックは大赤字を乗り越えて工場経営を再建し、再びマスクの生産を再開しました。
しかし、安価な中国産マスクに太刀打ちできず、プレステージ・アメリテックは従業員150人の解雇を断行。
ボーウェン社長は「多くの病院を閉鎖から救った150人の従業員は、その報いに仕事を失いました。もう二度とこのようなことは起こらないでしょう」と述べました。
トレビノ市長は「来たるべきパンデミックに備えて国産マスクの安定生産を可能にするために、連邦政府と契約したい」というボーウェン社長の意をくみ取り、
連邦議員に働きかけたものの、まったく反応がなかったとのこと。ボーウェン社長は「自分がバックアップ要員であることにうんざりしています。
アメリカ人の雇用を創出し、アメリカ産のマスクを買うことが重要です」と語っています。
プレステージ・アメリテックは2020年4月時点で、1日60万枚のマスクを生産しているとのこと。
しかし、ボーウェン市長によれば、24時間365日工場を稼働させても、新しい生産ラインを構築して新しく雇用した従業員を訓練するのに数週間ほど必要となるため、
結果として1日あたりおよそ100万枚しか生産できず、不眠不休で生産を行っても世界的な需要増加にはほどんど貢献できないとのこと。
以下略
https://gigazine.net/news/20200406-face-mask-maker-...
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