2004年の年金大改革で時の小泉純一郎首相が、「年金は将来にわたって現役サラリーマンの平均給料の50%を下回らない」と 
 約束したことから、夫婦合計の年金額とサラリーマン給料の割合を示す「所得代替率」の50%を維持することが、年金財政が 
 健全かどうかの基準となってきた。   
  しかし、それを計算するときに、役人は“悪知恵”を働かせた。「年金額」は税金や社会保険料を天引きする前の大きな金額を使い、 
 「給料」は税・社会保険を天引きした後の少ない手取り金額を用いることで、所得代替率を大きく見せかける“粉飾”が施されて 
 いるからだ。   
  そこまで都合のいい前提を置いても、8月に発表された財政検証では年金財政の悪化を隠し通すことはできなかった。   
  財政検証資料にある年齢別の支給額の試算から、今後、年金が支給開始される65歳時点の金額は毎年実質的に下がっていき、 
 受給が始まってからも毎年同様に引き下げられるという“二重の減額”が進むのだ。   
  そして大きなクラッシュがやってくる。   
 「2052年度に国民年金の積立金がなくなり完全な賦課方式に移行。その後、保険料と国庫負担で賄うことができる所得代替率は 
 38〜36%程度」という財政検証の記述からそのことが読み取れる。   
  現在は現役世代の納める保険料収入に加え年金積立金を取り崩しながら年金を支払っているが、積立金がなくなれば保険料収入と 
 国庫負担だけで年金を払わなればならない。それが「完全賦課方式」だ。   
  現役世代が負担できる保険料には限界があり、33年後に年金積立金がゼロになった途端、年金の大幅カットを迫られる。   
  財政検証の試算によると、夫婦の年金額は現在の月22万円からそのとき約13万5000円程度に下がる。   
  厚労省はこれから始まる年金改正で厚生年金の加入義務を学生や短期労働者にも拡大して加入者を一挙に「1050万人」増やし、 
 月給5万8000円以上あれば容赦なく保険料を取り立てる。   
  さらに保険料の支払期間を国民年金は45年間(20〜65歳)、厚生年金は最長55年間(20〜75歳)に延長する。いずれも 
 財政検証に書かれているオプションだ。   
  年金積立金を食いつぶし、「完全賦課方式」に移行して年金クラッシュ(大幅引き下げ)が起きるのに備えて、今のうちから 
 加入者を集められるだけ集め、保険料を広く深く取る態勢を整えようとしているのは明らかだ。   
  受給開始年齢の繰り下げなどで「年金が増える」という口車に乗ると、払うだけ払わされた挙げ句、将来、積立金が尽きた時点で、 
 「ハイ、これからは年金は半分しか払えません」と、あっさりと見捨てられる可能性が高いのである。    
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