そもそも有効求人倍率とは、ハローワークで仕事を求める人ひとりに対して求人が何件あるかという割合だが、直近の2019年5月の職業別有効 
 求人倍率(パート除く)を見ると、もっとも高倍率になっているのは「保安の職業」(7.06%)で、「建設・採掘の職業」(5.21%)、介護や 
 接客・給仕を含む「サービスの職業」(2.88%)とつづいており、厳しい労働条件の上、待遇がいいとは言えず離職率も高い職種が目立つ一方、 
 「事務的職業」は0.43倍(うち「一般事務」は0.32%)にとどまっている。つまり、労働環境の改善が進まず、なり手が少なく離職者が多い 
 業種に求人が増えているのが実態だ。   
 その3 
 「この春も6年連続で、今世紀最高水準の賃上げが実現しました」(政見放送など) 
 →生活実感に近い実質値で見ると賃上げ率は「今世紀で最低水準」   
  ここで安倍首相が根拠にしているのは連合の調査なのだが、これは全労働者のごく一部の結果にすぎず、そもそも勤労者全員の話のように 
 語るのは詐欺に近いのだが、じつはこの「今世紀最高水準」の結果にもカラクリがある。   
  というのも、連合集計は名目賃金であり、この結果から物価の変動の影響を差し引いた、生活実感に近い実質賃金の賃上げ率だと、民主党政権 
 時代の平均賃上げ率は2.59%であるのに対し、第二次安倍政権での平均賃上げ率はわずか1.1%。むしろ、第二次安倍政権下の実質賃金の 
 賃上げ率は、「今世紀で最低水準」に近いのではないか。   
  現に、統計不正の発覚で今年1月から数字を上ぶれさせていた不正調査の数値補正やベンチマーク更新がおこなわれなくなった途端、名目・ 
 実質ともに前年同月比で一転マイナスに。9日に厚労省が発表した5月の「毎月勤労統計」でも、基本給や残業代などを合わせた1人あたりの 
 現金給与総額(名目賃金)は前年同月比から0.2%減の27万5597円。実質賃金でも1.0%減で、これにより名目・実質ともに5カ月連続の 
 マイナスとなった。これは国民生活が悪化しているということの証明だ。    
  このように、実際には「雇用」も「賃上げ」も安倍首相の話はデタラメだらけなのだが、安倍首相はこれらを「成果」として誇り、 
 それによって「年金額を増やすことができた」と豪語している。   
  もちろん、これもとんだ詭弁だ。   
 その4 
 「この4月、みなさんの年金額を増やすことができたんです」(街頭演説) 
 「我々は、経済を成長することによってですね、0.1%でありますが、これはもう久々にですね、(年金で)プラスの成長を可能とした」 
 (日本記者クラブ党首討論会など) 
 →「増やした」どころか、実質的には0.9%も削られていた!   
 (続く)
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