日本共産党府議団は10月4日、京都市下京区で水道広域化・民営化問題を考える講演会を開催しました。民営化問題に詳しい
尾林芳匡(よしまさ)弁護士が講演し、国や府の水道広域化・民営化の動きに警鐘を鳴らしました。
尾林氏は、今の日本の水道法について「きれいな水、豊富な水、安く供給する」ことが特色としてうたわれているとし、憲法の
生存権保障、基本的人権の尊重の観点からも水道事業で国と自治体が責任を果たすことが重要だと強調。その上で、昨年12月に
強行された、水道事業の民間参入を促進し、広域化・民営化を狙う改定水道法の問題点を解説しました。
水道民営化問題について、海外の事例を紹介。フィリピンのマニラ市では水道料金が4〜5倍に跳ね上がり、住民の怒りが噴出、
米国のアトランタ市では水道事業をフランスの水事業大手ヴェオリア社が株を買い取り、合理化を進めると、蛇口から茶色い水が
出てきて問題になったことなどを解説。フランスのパリ市では料金高騰に加え、不透明な経営実態が問題となり、再公営化された
ことを紹介し、「世界で水道民営化の弊害が次々と明らかになっている。今の日本の政府・財界が狙う民営化は“周回遅れ”。
こんな動きを許してはならない」と民営化推進姿勢を批判しました。
水道法改定で可能となった、事実上の民営化である「コンセッション方式」について、「『コンセッション』を直訳すると
『利権』だ」とし、同方式を下水道で導入した静岡県浜松市の事例を紹介。下水道事業で、財政状況が不透明なことや情報公開
しても「黒塗り」で資料が出されるなど問題が噴出。続けて狙われていた上水道の民営化計画が無期限延期となっている状況を述べ、
「住民、自治体にとって百害あって一利なしのコンセッションを広げるわけにはいかない」と強調しました。
また水道広域化の問題点について、地域の実情に合わない計画が作成されるおそれがあるとし、「経費削減のための合理化計画が狙い。
ただし、国や府が広域化を押し付けてくる時に合理性をもって対峙(たいじ)すれば、広域化が進められるという規定にはなって
いない」と指摘。そのうえで、埼玉県小鹿野町ではすぐれた水源をつぶして浄水場削減が狙われたケースを示し、「現在出てきている
広域化は企業がもうけやすい水道事業体として、企業に売り飛ばすために狙われている。企業のためではなく、地元のすぐれた水源を
活かす発想こそが大事」と述べました。
同党府議団の光永敦彦府議が、府が狙う、広域化や民間委託の拡大の状況などを解説し、自治体の水道を守る運動を呼びかけました。
府内自治体の参加者から、広域化や民営化を懸念する質問がだされ、尾林氏がこたえました。
https://www.kyoto-minpo.net/archives/2019/10/18/post-23995...
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