消費税増税の強行が目前に迫っているが、そんな中、安倍政権が国民を不安に陥れた都合の悪い事実をまたひとつ闇に葬り去った。
25日に金融庁の金融審議会が総会を開催したのだが、そこで例の「老後2000万円報告書」問題について、「今後は報告書を議題と
しない」と決定したのだ。
まったくふざけた決定としか言いようがないが、この決定について27日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)が特集。
そこに専門家として登場し、怒りを露わにした人物がいた。
それは、第二次安倍政権で内閣官房参与として安倍首相の政策を支えてきた、藤井聡・京都大学大学院教授だ。
藤井教授といえば、思想的にも右派で安倍首相の有力ブレーンのひとりと目されていたが、一方で消費増税反対を主張。昨年11月には
『「10%消費税」が日本経済を破壊する』(晶文社)を出版し、さらに共産党の機関紙「しんぶん赤旗日曜版」(2018年11月18日付)にも
登場して消費増税を批判。この「赤旗」登場がきっかけで、昨年末に内閣参与を実質「解任」に近い形で退職したが、その後も積極的に
消費増税が経済に与える影響の深刻さを訴えつづけている。
「老後2000万円報告書」をお蔵入りにし、国民に不安が広がってしまったことがいかに経済に打撃を与えるかについて、鋭くその責任を
追及した。
「これが、ものすごくいまの日本の経済を疲弊させるんですよ。なぜかというと、これからね、国民は不安になります。どうするかというと、
たとえば給料30万円もらいました。いつも20万円使ってました。でも心配やから15万円にします。そうしたらその方の貯金は増えるかも
しれないけれど、その方が使っている5万円が市場に回らなくなるんですよ。これ、1億人が5万円使わなくなったら、すさまじく経済、
疲弊するんですよ」
「だからこれは“2000万円デフレ”を引き起こすんですよ。しかもこれで消費税、増税するんでしょ? 日本ぐちゃぐちゃになりますよ」
「みんなが貧乏になったら所得が減るから所得税も減って、政府の収入も減るんですよ。政府の収入が減ったらどうなるかと言うと、19万円の
年金すら18万、17万円になるんですよ。これ、とんでもない悪影響をもたらします」
「(報告書をお蔵入りにしたことで)政府に対する信頼がなくなっただけじゃなくて、将来に対する信頼もなくなった。97年の消費増税以前って
インフレ、ようするに経済が成長していたんですよ。経済が成長しているときというのは、20歳の子とかは『30歳になったらこれくらいの
給料やな』と。30歳の人は『40歳やったらこれくらいの給料になる』と。だから30代とかで家を買ってローンを組んで借金を返すとかできた
わけですよ。だけど、いま景気がすごく悪い、で、将来2000万円足りないかもしれん、そうしたらいまどうしたらいいねんってことで、将来に
対して不安だらけで、お金使わなくて、なけなしのお金を貯金して、自分は百均に行くと。極貧生活になって、みんな百均に行くからお金が
回らないからもっと貧乏になる。で、政府に10%の消費税をぶっこ抜かれていくわけですよ。これはね、日本経済の地獄ですよ、これから」
(続く)
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